アルツハイマー型認知症遺伝子
  • アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)の患者数は約4,500万~5,000万人です。2030年には7,500万人、 2050年には1億4,500万人、新規患者数は770万人に達するといわれています。認知症の世界的な経済的コスト は6040億ドル以上で、世界の国内総生産の1%に相当します。
  • 経済的な面では、米国では2260億ドル/年、欧州では1600億ユーロ/年がアルツハイマー病に関する福祉費用に あてられています。(50%以上がインフォーマルケアの費用、10~20%が薬理学的治療の費用)。米国だけでも、65 歳以上の人のアルツハイマー病の直接医療費用は、2050年には1.1兆ドル以上になる可能性があると推定され ています。
  • アルツハイマー病の有力な遺伝的リスク因子については20年ほど前に報告されていましたが、研究者の多くは それをほとんど無視してきました。しかし、その風潮がようやく変わろうとしています。
  • アルツハイマー病は、アミロイドベータペブチドという老廃物が脳に蓄積し、 神経細胞に障害を与えることが原因 で発症することがわかっています。
  • アルツハイマー病の発症は遺伝的要因以外に加齢や生活習慣なども関係しています。また、糖尿病や高血圧は アルツハイマー病のリスク因子と言われています。
  • さらに生活習慣の改善など適切な予防を行えば、アルツハイマー病の発症を防いだり遅らせたりすることができ ることが、最近の研究でわかっています。
アルツハイマー病と認知症について

アルツハイマー病は最も一般的な種類の認知症であり、脳が適切に機能しなくなったときに発生する症状全体に対する用語です。 アルツハイマー病では記憶、思考、行動に問題が起こります。初期段階では、認知症の症状はごく少しかもしれませんが、疾病は次第に脳に損傷を与えて、症状が悪化していきます。疾病の進行する速度は人によって異なります。しかし、アルツハイマー病の患者の平均余命は発症してから8年です。

アルツハイマー病の進行を止める治療は現在のところありませんが、認知症を治療するための薬はあります。過去30年間の認知症研究から、アルツハイマー病が脳にどのように影響するか、深い知見が得られました。現在では、より効果的な治療と完治およびアルツハイマー病の予防および脳の健康を改善するための方法を求めて研究が続けられています。

日本におけるアルツハイマー病と認知症

日本では460万人の人々が認知症を抱えて暮らしています。そしてこの数は、人口の高齢化に伴い大きく増加することが予想されています。世界中では4400万人以上の人々が認知症を抱えて暮らしており、この疾病は対処しなければならない世界的な健康問題です。

アルツハイマー病と診断されることは、病気を抱える本人だけではなく、その家族や友人の人生をも変えます。

アルツハイマー病の危険因子

研究者はアルツハイマー病の発症する確率を高める複数の遺伝子変異を同定しました。アルツハイマー病に関連する最も共通の危険遺伝子はAPOE-e4です。アルツハイマー病の1/4ものケースでこれが関連していると推定されています。

初めての「APOE、TOMM40同期検査」により、アルツハイマー病のリスク情報をより完全に提供します。操作は簡単かつ迅速です。侵襲を伴わない検査で、口腔拭子または唾液からDNAサンプルを採取します。

ApoE(アポリポタンパク質E)
遺伝子
TOMM40遺伝子
アミロイドベータペブチドの蓄積や凝集に関わる物質のひとつが、 ApoE (アポリポタンパク質E)です。TOMM40遺伝子検査を加えることで、発症リスクの予見精度を高めること ができると考えられています。
ApoE(アポリポタンパク質E)遺伝子は、アルツハイマー病の発症にか かわる極めて重要な遺伝子です。 ApoE遺伝子は、3つのサブタイプ(ε2、ε3、ε4)をもっており、それぞ れ両親から1つずつを受け取っています。この中でε4を持っている方 は、持っていない方よりアルツハイマー病の発症のリスクが高まるとい われています。 一般的にε4を1つ持つ場合では発症のリスクが3倍に、ε4を2つ持つ 場合はリスクが10倍になるといわれています。 ただし、ε4を持っていても認知症を必ず発症するわけではありません。 ε4を持っている方は、より認知症にならないための生活習慣の改善 が必要となります。TOMM40遺伝子は、19q13.2のAPOE遺伝子の近くに位置しており、 APOE遺伝子との連結不平衡状態にあります。 TOMM40遺伝子は、アミロイドβや他のタンパク質のミトコンドリアへの 輸送に関与するミトコンドリア外膜トランスロッカーゼをコードしており、 TOMM40遺伝子のイントロニック多型のポリTリピートがアルツハイ マー病に関与していることが示唆されています。 APOE-TOMM40領域における異なるバリアントは、疾患リスク、アルツ ハイマー病発症時の年齢、認知老化および病理学的認知機能低下に 影響を及ぼします。 イントロニックポリは、遅発性アルツハイマー病(高齢発症型アルツハ イマー病)患者の脳におけるApoE遺伝子およびTOMM40遺伝子の発 現に影響を与えます。ApoE遺伝子ともある程度関連しています。

APOE遺伝子の検査だけではなく、TOMM40遺伝子の検査も含んでおり、より正確な情報を提供し、早期診断とリスク評価をサポートします。
検査の流れ

①綿棒による口腔内細胞のDNA採取

②検査結果

  • 約2週間後に検査の結果が出ます。
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